テーマ 194 管理職として必要な自責思考
■自責思考で熟考する
管理職にとっての自責思考とは、自分の行動や決定に
対して責任を持ち、結果について他者や外部の要因に転嫁せず、
自分自身の改善点を見つけ出そうとする思考のことです。
自責思考は自分自身の成長、チームの成長を図る上で
管理職として欠かせない能力となります。
管理職の方は、仕事を進める過程の中で
いろいろな課題に直面します。
課題に直面した際に多くの管理職の方は、
「部下や同僚、上司」に対して自分が行った対策の仕方が
悪いのでうまくいかないとの考え方で、
さらに別な対策方法を考えて手を打とうとします。
私が主催しております管理職研修の中では、
「部下や同僚、上司」に対する視点だけではなく、
「管理職としての考え方や意識の持ち方、業務スキルの問題」など
「自分自身に問題はないのか」という視点からも考えてもらいます。
例えば管理職の方は「部下はやる気がないから仕事ができない」
とよく口にしますが、ほとんどの部下の方は「いい仕事がしたい、
仕事を通して成長したい」と思っています。
「いい仕事がしたい、仕事を通して成長したい」
という部下の気持ちを
「理解できない、受け入れない、そして引き出そうとはしない」
管理職の自分に問題があるのではないかという
視点で考えてもらいます。
また、顧客からクレームがきた場合、管理職の方はその原因を
「部下の能力不足や不注意」と口にしますが、
本当は「自分の仕事の与え方や仕事の途中での部下への
指導の仕方が悪かったのではないか」
という視点で考えてもらいます。
こうして、文章にしてみると、あたりまえで簡単なことように
見えますが、気づかずに悩んでいる管理職の方が多くいらっしゃいます。
部下の問題ではなく自分の問題であることに全く気付かず、
部下の言動を変化させようとして手を替え品を替えていろいろな
施策を次から次へと繰り出す管理職の方がいらっしゃいますが、
結局部下の方は何も変わらないという結果になります。
また管理職の方が、自分の上司も忙しいのでこの程度のことなら
上司に報告しないで仕事を進めてもよいだろうと
自分の判断で仕事を進めてしまい、あとから上司に何で事前に
報告をしないんだ、その件に関しては伝えるべき重要事項が
あったのだと注意されることもあります。
視点を自分に向け考え部下の方をはじめ上司の方や仕事の
関係者の方に対する考え方や言葉、態度など、
自分の接触の仕方に問題はなかったかと考えて見ることが必要です。
何故部下は自分の指示を理解できないのか、
何故部下や上司の方から自分に話しかけてこないのか、
部下や上司は自分をどう見ているのかなど、
視点を自分に向けることによって今まで見えていなかったことや
気づかなかったことが多々分かることがあります。
このような気づきは仕事の幅や対人スキルの幅を
大きく広げる機会となります。
■自責思考の必要性
このような管理職としての自責思考について
その必要性を下記にまとめました。
1.信頼構築
仕事上の問題が発生した場合、その原因を他者のせいにせず
管理職が自らの責任を認めることで、
部下や同僚、上司からの信頼を得ることができます。
信頼はチームの一体感や協力関係を構築するための基盤となります。
2.スキルアップ
自分の行動や決定の結果を冷静に振り返り、今後の改善点を
考えることは管理職としてのスキルアップを促します。
3.ポジティブ指向のチームづくり
失敗を前向きにとらえる管理職の姿勢は、
チーム全体に前向きで責任感のある文化を醸成します。
管理職が自ら責任を持つ姿勢を示すことで、
部下も同様の姿勢を取るようになります。
4.問題解決能力の向上
自責思考で熟考することは、問題の原因を突き詰める
能力を高めます。他者や環境のせいにせず、
自分自身の考え方や行動を見直すことで、
問題解決スキルが磨かれます。
自責思考は管理職にとって必要不可欠な重要な考え方となります。
この考え方により、管理職は信頼を得るとともに自分自身も成長し、
問題解決能力を高めていくことができます。
また、チーム全体に前向きで責任感のある文化を醸成し、
チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。
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